artscapeレビュー

リチャード・マイヤー《ゲティ・センター美術館》

2012年06月15日号

[アメリカ ロサンゼルス]

二度目のゲッティ・センターへ。やはりリチャード・マイヤーによる階段は空間の見せ場だし、安心感のあるモダンなスタイルは固定化されているとはいえ、群体でこれだけの規模をまとめあげ、なお美術館としても性能にあまり不具合がなさそうなのは、さすがだ。もっとも、展示が変化し続ける現代美術が含まれていないので、空間の仕様を決めやすいのかもしれないが。ディズニーランドがポストモダンのテーマパークなら、ゲッティ・センターはモダニズムのユートピア、あるいはアートのテーマパークだろう。同じゲッティの施設でも、ヴィラがローマを模範としているならば、センターは丘の上のアクロポリスでギリシアといえる。ちなみに、直島の安藤建築群は現代アートで、同じような展開をしているが、島に分散配置しているところが大きく違う。

2012/05/05(土)(五十嵐太郎)

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