artscapeレビュー

金井和歌子 展「もう何もわからない」

2012年07月01日号

会期:2012/06/09~2012/06/14

ギャラリー島田deux[兵庫県]

おとぎ話にでも登場しそうな可愛いキャラクターたちが繰り広げるシュールな世界を、陶オブジェで表現。金井はオブジェと器を並行して制作しており、オブジェの個展は2年ごとに行なっている。可愛さのなかにどこか残酷さを秘めた造形には独自の美学が感じられ、特に女性からの支持が高そうである。また本展では、巨大な作品タイトルを作品の隣に貼り、言葉と造形の結び付きを強めたり(しかも、PCからのプリントをもとに手書きするという凝りよう)、作品の設計図やスケッチを展示するという新しい試みも見られた。彼女の制作のベースには絶望の感情があるらしいが、私にはその絶望が何かまではわからなかった。しかし、作品が魅力的なのは確かなので、今後も個展を見続けたいと思う。

2012/06/09(土)(小吹隆文)

2012年07月01日号の
artscapeレビュー