2017年09月15日号
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artscapeレビュー

プロジェクト大山『みんな しってる』

2012年07月01日号

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会期:2012/06/23~2012/06/24

スパイラルホール[東京都]

2年前、トヨタコレオグラフィーアワードの「次代を担う振付家賞」をプロジェクト大山が獲得した。そのときぼくが思ったのは、トヨタのような現代(現在)のダンスに賞を与える場で、彼女たちのようなダンスを、というよりも彼女たちのダンスが基礎にしているダンスを評価する時代が来たということだった。ときに人はそれを「正統派」と呼ぶ。ぼくは見聞が狭くどう形容すべきかわからないのだが、ひとつ感じるのは、大学の教え子たちが高校時代に励んでいたといいながら貸してくれる、いわゆる「創作ダンス」の映像に似ているということだ。トヨタの受賞作品と同様、本作からも「創作ダンス」に似ているという印象を受けた。曲ごとに構成された振付は、激しかったりユーモラスだったりするポーズが挟まれるとしても、基本的には独特の美しさやフォーメーションの正確さ、独特のシャープネスを表現することに専心する。珍しいキノコ舞踊団やニブロールといった日本のコンテンポラリー・ダンスの女性作家たちが振付を通して示そうとした「等身大の若者」像は、本作からも読みとれなくないのだが、それより明らかなのは、目の前にいるのが「踊りたい女子たち」ということ。踊りでなにかを表現すること以上に、踊ることそれ自体を欲している「踊りたい女子たち」。彼女たちを駆り立てているのは、芸術的な表現欲というよりも体育的な運動欲に映る。そう思うと、フィギュアスケートやシンクロナイズドスイミングを見るときのように正確さや形の美しさに興味が湧いてきて、見る目が普段とは違ってくる。それをコンテンポラリー・ダンスの多様化として歓迎すべきなのかはわからない。ただし、気になったのは、その「創作ダンス」的なものの価値それ自体が作中で問われなかったことだ。そのことに違和感が残る。なぜこの系統のダンスを「踊りたい」のか。それが見る者に説得的に伝わってくるならば「踊りたい女子たち」の欲求もひとつの見所になりうるかもしれないのだけれど。

2012/06/24(日)(木村覚)

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