2018年10月15日号
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artscapeレビュー

新incubation4「ゆらめきとけゆく──児玉靖枝×中西哲治 展」

2012年07月15日号

会期:2012/06/16~2012/07/13

京都芸術センター[京都府]

久々に京都へ。「インキュベーション」はベテランと若手を対比的に見せる意欲的な(ときに残酷な)シリーズ。まず児玉靖枝だが、これまでの木を描いた絵のほかに、海中を描いた新作《わたつみ》も出している。木のほうは、フラットな地塗りの上に1本の木の枝や葉を描いた単体描写と、森林のように1本1本の木が識別できない情景描写の2通りあって、児玉の関心のありようがうかがえる。《わたつみ》のほうは海中を横から見たもので、画面中央部が深緑におおわれ、上下は色が少し薄くなっている。つまり海面と海底がわずかに示唆されており、画面の中央部が奥深く感じられる。絵画はたいてい垂直に立てられ、水平方向に広がる奥深さを表わすものだから、これは絵画空間そのものへの関心に基づいていると推測できる。それに対して、中西哲治の関心のありようはまったく異なっている。中西は工事現場や街角など身近な都市風景を大胆なストロークで描く。いや、都市風景を描くというより、風景をモチーフに「内的感情」を表現しているというべきかもしれない。もとより大きな筆で激しく描けば「感情的」と見なされ、抽象に近づいていくが、中西の絵はその一歩手前で踏みとどまっているような印象だ。どちらも見ごたえのある展示。関西ってなんでこんなに絵画の意識が高いんだろう。

2012/06/16(土)(村田真)

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