2018年10月15日号
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artscapeレビュー

今和次郎「採集講義──考現学の今」

2012年07月15日号

会期:2012/04/26~2012/06/19

国立民族学博物館[大阪府]

画家、建築家、デザイナーでもあり「考現学」の創始者である今和次郎。民家研究をはじめ、関東大震災後は街と人々の生活の変化を観察、記録、分析し、戦後は「生活学」や「服装研究」といったことも行なっていた。今展はそのさまざまな活動と生き方を軸に、「みんぱく」の調査研究のあゆみとの関係やその成果を紹介するもの。会場には、今の数々のスケッチやドローイングとともに、モンゴルのゲルの家財に関する梅棹忠夫の研究成果と最新の調査との比較、考現学創始当時の洋装、みんぱく開館当時に行なわれた民家模型製作のための民家調査資料など、みんぱくで進められてきたさまざまな資料や研究が展示されていた。なにしろ展示のボリュームがすごい。特に、詳細な今のスケッチを一つひとつじっくり見ていくと何時間もかかるほどなのだが、建築物や人々の生活、衣服の観察、そこでの問題意識などがうかがえるそれらはどれも興味深く、またドローイングそのものが魅力的。関東大震災後、人々が瓦礫のなかからありあわせの材料でこさえたバラックのスケッチをはじめ、建築家やデザイナーとしての活動にも、今の人となりと眼差しがうかがえる。じつに見応えのある内容だった。

2012/06/17(日)(酒井千穂)

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