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明倫茶会「半農半Xな茶会」

2012年10月15日号

会期:2012/09/22

京都芸術センター[京都府]

さまざまな分野で活躍する人を座主に迎え、毎月、京都芸術センターで開催されている「明倫茶会」。茶会といっても茶道はあまり関係なく、毎回の座主の個性に合わせ自由な趣向で行なわれているユニークな茶会だ。9月は「半農半X研究所」代表の塩見直紀さんが座主で、秋分の日に開催された。当日は1時間ほどの席が計4回設けられていたのだが、各回ごとに「半農半芸」「晴耕雨創」「敬天愛人」「則天去私」という四文字のテーマがあり、「天職発見のためのミニワークショップ」がそれぞれの席で行なわれた。塩見さんが提唱する「半農半X」とは、各人が“持続可能な”小さな「農」のある暮らしをし、自分の才能や好きなこと(X)を世に活かす生き方、暮らし方をすること。私が参加した「半農半芸」の回では「『半農半芸』で生きるとしたらどんな芸で表現するか」や、「人生で叶えたいことを自由に」書き込むワークシートが配布され、参加者が自己紹介をかねてそのひとつを披露するという時間が設けられていた。茶室の床の間に飾られた丹波の毬栗、生け花として飾られた綾部の稲穂、お菓子、秋分の日を含めたしつらいなども「一期一会」を尊ぶ塩見さんならではの趣きで楽しかった。ただ少し残念だったのは、参加者が多かったせいもあるのだろうが、ワークショップが長くなって、座主自身のお話の時間があまり取られなかったこと。1時間の茶会なので欲張りな希望だが。

2012/09/22(土)(酒井千穂)

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