糸崎公朗「盆栽×写真 VOL.02」:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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糸崎公朗「盆栽×写真 VOL.02」

2012年11月15日号

会期:2012/10/05~2012/11/28

さいたま市大宮盆栽美術館[埼玉県]

昨年の大和田良に続いて、今年もさいたま市の大宮盆栽美術館で「盆栽×写真」の展覧会が開催された。大和田の展示も面白かったが、糸崎もいかにも彼らしい作品を発表している。やはり盆栽と写真とは、相性がいいのではないだろうか。
糸崎が用いているのは、お馴染みの「ツギラマ」の手法。複数の視点から撮影した画像をつなぎあわせ、パノラマ的な視覚空間をつくり上げている。伸び縮みする「ツギラマ」の視点で、盆栽のディテールをかなり極端なクローズアップで撮影し、それらをグリッド状に配置していく。画像の一部だけにピントが合っていて、あとはボケているカットもあり、まさに継ぎはぎだらけの面白い視覚的効果が生じていた。糸崎の試みがうまくいっているのは、やはり盆栽という素材だからこそとも言えるだろう。盆栽はひとつの鉢の中で、完結した小宇宙を形成しており、自然に育っている樹木と違って、近距離から、どんなアングルでも自由に撮影することができる。一方で「ツギラマ」の手法で撮影された盆栽は、それほど大きなものではないはずなのに、あたかも巨大な森のようにも見えることもある。そのあたりの、融通無碍な視点の変化が、大小19点の作品をリズミカルに壁面に配置した展示効果と相まって、とてもうまく使いこなされていた。
この「盆栽×写真」の企画、まだいろいろな形で展開していく可能性がありそうだ。大和田、糸崎に続く第三の写真家がいったい誰なのか、そのあたりも楽しみになってきた。

2012/10/29(月)(飯沢耕太郎)

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