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《ヴィラ・ジュリア国立博物館》《ローマ国立近代美術館》

2012年11月15日号

[イタリア・ローマ]

出発前の朝、日本文化会館に隣接する《ヴィラ・ジュリア》を訪れた。エトルリアの考古学展示も面白いが、なによりも空間のダイナミクスをもつ古典主義の建築が素晴らしい。現代建築ばかり見ていると、視野狭窄になるので、すぐれた古典の存在は大事だ。続いて、《国立近代美術館》へ。これは堅苦しい古典主義である。ただ馬鹿でかいことによって、結果的に現代美術の展示にも耐えうる空間をもつ。ここでは、アルベルト・ブッリの絵画を見ることができた。地震で破壊され、集団移住により廃棄されたイタリアの町ジベリーナにて、街区ごとコンクリートで固め、巨大なランドアートをつくった作家である。彼の抽象的かつ素材感が強い絵画は、空からみた作品化されたジベリーナとよく似ていた。

写真:上から、《ヴィラ・ジュリア国立博物館》、《ローマ国立近代美術館》、アルベルト・ブッリの絵画

2012/10/24(金)(五十嵐太郎)

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