artscapeレビュー

「3.11-東日本大震災の直後、建築家はどう対応したか(海外巡回展)」ケルン展

2013年01月15日号

会期:2012/11/14~2013/02/02

ケルン市立東洋美術館[ドイツ、ケルン]

ケルンのグリーンベルトに建つ東洋美術館は、前川國男が唯一海外で設計した建築である。コンクリートをむきだしにせず、タイル貼りの落ち着いた後期の作風なので、熊本、東京都、宮城の美術館と似ている。その向かいがケルン日本文化会館で、こちらはル・コルビュジエの流れをくむモダニズムだ(別の日本人建築家によるもの)。こうした建築の組み合わせは、上野公園の雰囲気を思い出させる。日本文化会館では、ちょうど「東日本大震災の直後、建築家はどう対応したか」展と、被災地の作家による「ポストカード・フロム・ジャパン」展を同時開催していた(あいちトリエンナーレ2013に出品する青野文昭も参加)。ここで震災後の建築についてレクチャーを行なったが、ドイツということで、原発の事故や被災建物の残し方に高い関心が示されていた。

写真:左=「3.11-東日本大震災の直後、建築家はどう対応したか(海外巡回展)」ケルン展、右上=東洋美術館、右中=日本文化会館、右下=「ポストカード・フロム・ジャパン」展

2012/12/12(水)(五十嵐太郎)

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