artscapeレビュー

会田誠 展

2013年02月15日号

会期:2012/11/17~2013/03/31

森美術館[東京都]

森美術館の会田誠展を訪れる。多くの作品はすでに見ていたが、初期のもので知らないものが幾つかあって、それが収穫だった。こうしたまとめて作品を見ると、パロディ+笑い+高尚なものへのルサンチマンが一貫している。ただ、いまやネタがベタになる時代だ。批評的に機能していた会田の作品は、社会が変わったことで、その受容も変わったのではないかと思う。例えば、会田誠の戦争画RETURNSシリーズは密度が高い作品だが、当時の左翼的知識人への違和感が制作の背景にあったという。同じ時代を生きていたものとして会田の感じていた雰囲気はよくわかる。しかし、いまの日本社会は左翼的言説が消滅し、まるで違う位相だ。「天才でごめんなさい」の展覧会タイトルも、観客にはベタに受けとられるのかもしれない。ちなみに、筆者が好きな作品は、新宿御苑改造計画である。

2013/01/13(日)(五十嵐太郎)

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