artscapeレビュー

Absolute basis──樫永創と片山浩の場合

2013年03月15日号

会期:2013/02/18~2013/02/23

Oギャラリーeyes[大阪府]

表現形式の多様な現代において「何故、絵画を選択するのか」という問いに作家はどのように答えるのか。制作のアプローチもそれぞれの作家たちの作品を通して、表現への眼差しを探るというギャラリー企画のシリーズ展。4回目となる今回は樫永創と片山浩の作品が展示された。底知れない深淵の淀みのような暗い画面が不気味でもあるが、その奥深くにはなにかが潜む気配も感じさせる樫永の絵画。映画のワンシーンをモチーフに、同じ場面を何度も画面に描き重ねているという片山の一連の作品。絵の具が塗り重ねられた片山の作品は、繰り返し同一場面を描くという行為のなかで、その度に変化する感覚や感情、そのような“揺れ”を修正しようとする作家の意識なども垣間見えるよう。表現のあり方が異なる作家それぞれの制作の求心力がじわりとあぶり出しのように見えてくるのが面白い空間だった。

2013/02/22(金)(酒井千穂)

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