artscapeレビュー

山形県寒河江市

2013年05月15日号

[山形県]

仙台から山形に向かい、寒河江へ。黒川紀章の初期の傑作、寒河江市役所は、大きく張り出す執務のヴォリュームを4本のコアから吊る、ハイテクのごときダイナミックな構成と、岡本太郎や天童木工がコラボレーションした密度の高い屋内の空間をもつ。メタボリズムの思想を表現しつつ、30代前半でこれを成し遂げたのは見事である。市役所はいまも現役で使われているが、免震工事を行い、将来も残りそうだ。また郷土館では、明治建築の旧西村山郡役所と旧西村山郡会議事堂が移築されている。近代から1960年代まで、地方都市がこれらの前衛的な建築を実現させていたのが興味深い。

写真=黒川紀章《寒河江市庁舎》

2013/04/30(火)(五十嵐太郎)

2013年05月15日号の
artscapeレビュー