artscapeレビュー

祐源紘史 個展「最初の食事が死の始めである」

2013年06月15日号

会期:2013/05/10~2013/06/07

ギャラリーt[東京都]

ケンタッキーフライドチキンの食べカスの骨で人体の骨格模型を組み立てる祐源。旧作のバレルの上に直立する骨格もあるが、今回は片手で骨を振りかざす新作の骨格もあって、まるで『2001年宇宙の旅』のプロローグに出てくる猿人を思い出す。猿人の骨がチキンとはね。ほかにも油のついた紙を「ドローイング」として額装したり(これは榎倉康二風)、ケンタから多くのネタを引き出している。もう少し有名になったら、ケンタからチキンを無償提供してもらえるといいね。ケンタ以外では、卵のパックに鶏卵と中身を抜いた殻を半々ぐらい並べた作品があった。これだけじゃ作品にならないが、タイトルを見ると《隣はセメタリー》となっていて激しく納得。まさに生と死が隣り合わせになってるのだ。しかもよく見ると、ひとつの殻は割れた部分がドクロのかたちになっている。コンセプトが明快でユーモアがあり、芸も細かい。

2013/05/25(土)(村田真)

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