artscapeレビュー

碧亜希子 個展「割って 並べて 貼るところ」

2013年07月15日号

会期:2013/06/01~2013/06/30

家具町LAB.[大阪府]

木工の体験教室や家具を長く愛用するための修理再生のワークショップなどユニークな活動を行なっている家具町工房。面白そうなのでいつか行ってみたいと思っていたのだが、このときは、ちょうど併設の家具町ラボ(家具町LAB.)で開催されていたモザイク画の展覧会にあわせ、両方を訪ねることができた。家具町ラボで個展を行っていたのは、イタリアで伝統的なモザイク技法を学び、アテネ市内のモザイク工房に勤めたのちに帰国し、モザイク彫刻家として活動している、碧(あお)亜希子さん。会場には10数点のモザイク作品が展示されていたのだが、期間中、碧さんはここでモザイクの材料や石を割る機械、作業台などアトリエの一角をそのまま持ち運んだという状態で、滞在制作も行なっていた。この日はモザイク画制作体験のワークショップが行なわれていて、年輩の夫婦や親子連れの姿など大勢ではないがゆっくりと作業を楽しむ参加者の姿が見られた。自由参加で、ひとつのモザイク画面を完成させるという内容だったのだが、作業をしているうちに見知らぬ者同士だった参加者の会話がはずんでいくという和やかな光景も微笑ましい。私も体験したモザイク画、想像以上に難しく苦戦したがその技法やテクニック、やればやるほど時間のかかるたいへんな仕事であることなど、これまで知らなかった興味深い事柄を知ることもできたのが嬉しい。収穫の多いワークショップだった。


左=家具町工房
右=碧亜希子による家具町ラボ(家具町LAB.)でのモザイク画ワークショップ

2013/06/16(日)(酒井千穂)

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