artscapeレビュー

「印象派を超えて──点描の画家たち」記者発表会

2013年07月15日号

会期:2013/06/05

国立新美術館[東京都]

10月4日から国立新美術館で開かれる展覧会の記者発表。まだ4カ月も先のことだし、これから暑くなる時期に秋口の話をされてもなあ的な冷めた空気も漂う。展覧会のモネ、スーラ、ゴッホ、ドランと続く点描表現の流れは教科書的だが、モンドリアンの初期だけでなく幾何学的な色面抽象まで点描の延長として位置づけた点がユニーク。たしかに3原色の独立した配置は点描に通じるかも。しかし初期の点描風のマティスが出ないのは画竜点睛を欠かないか。そもそも出品作品の大半は、オランダのクレラー・ミュラー美術館のコレクションからで、「点描」でまとめるというアイディアも美術館側からの提案だったらしい。クレラー・ミュラーといえば日本でたびたび開かれる「ゴッホ展」の供給元として知られる美術館。日本にとってはありがたい存在であるが、クレラー・ミュラーからすれば日本はいいお得意さんに違いない。こうして西洋美術の需給のバランスは保たれているんだね。

2013/06/05(水)(村田真)

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