artscapeレビュー

クロユリ団地

2013年07月15日号

『クロユリ団地』は、J.ホラーの進化形ではなく、罪悪感と時間をめぐる悲劇だった。驚かすことや怖がらせることよりも、精神に重苦しく、長く訴える。映画の最初、主観視点で各部屋をなめまわすシーンが不自然だと思ったら、なるほどきちんと論理的に撮影されている(ネタバレになるので書けないが)。前田敦子の演技が思いの外、よい。それにしても筆者が暮らす仙台の宿舎が、ここの団地にとても似ていることが一番嫌だった。

2013/06/01(土)(五十嵐太郎)

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