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artscapeレビュー

グラフィックトライアル2013──燦(さん)

2013年08月01日号

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会期:2013/05/18~2013/08/04

印刷博物館P&Pギャラリー[東京都]

グラフィックデザインとオフセット印刷の組み合わせにより新たな表現の可能性を求めるプロジェクト。8回目の今年は「燦(さん)」を共通のテーマに、佐藤晃一、成田久、髙谷廉、阿部拓也のグラフィックデザイナー4氏と凸版印刷のプリンティング・ディレクターが協働した。佐藤晃一のトライアルは、「蛍光インキによるパステル表現の可能性」。原画を淡くぼかして蛍光インキで刷られた「きいちのぬりえ」にシャープな墨版を重ねることで、和菓子の練り切りのような透明感のある、それでいてざらざらとした不思議な質感を表現する。成田久は「パッチワーク印刷でドキドキがいっぱい」。さまざまな色や紙の組み合わせで刷られた成田自身の顔のパッチワークは、同じ写真をモチーフに用いていても、印刷によって多彩な表情が生み出せることを示している。髙谷廉のトライアルは「色によるハレーション効果の追求」。たとえば補色関係にある色彩が並ぶと眼がチカチカするようなハレーション効果が生じる。通常は嫌われがちな現象であるが、色彩の組み合わせや色面の形態の相違による効果の違いを追求し、これを表現の手段にする試みである。阿部拓也は「暗闇のなかに輝く光を」。インクやニスの重ね刷りと印刷用紙の組み合わせによって多様な「黒」を追求すると同時に、暗闇のなかに輝く光の表現を探る。いずれのトライアルも、印刷技術とデザインの組み合わせがもたらす輝き、きらめくような視覚効果、すなわち「燦」なのである。[新川徳彦]

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2013/07/18(木)(SYNK)

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