artscapeレビュー

二代目はクリスチャン

2013年08月15日号

会期:2013/07/05~2013/07/07

北とぴあ・つつじホール[東京都]

王子にて、つかこうへいの『二代目はクリスチャン』を観劇した。基本的にはリズミカルで、明るく、キラキラした80年代の空気感を思い出させるのだが、だいぶ前に見たお気楽なイメージで記憶している映画版に比べて、戦争の記憶、差別の問題、親殺しなど、独特の暗さを抱えている。劇中で流れる中森明菜やラッツ&スターなどの歌謡曲が懐かしい。一方、舞台美術はほぼゼロで、照明だけで演出していたのは興味深い。同日に上演された『道化師の歌が聴こえる』は、壁に囲まれた街という設定は面白そうだったが、物語の展開をみると、90分もやる内容なのかと疑問に思った。この展開なら30分くらいでおさまるのではないか。あと、ベタにサティの曲を流すだけでの演出も、個人的にはきつい。

2013/07/06(土)(五十嵐太郎)

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