artscapeレビュー

風立ちぬ

2013年08月15日号

宮崎駿の映画『風立ちぬ』を見る。震災と敗戦という2つの廃墟に挟まれた、工学/芸術、ロマンティシズムの物語だ。これを批判をするのは簡単だが、巨匠があえてバランスに配慮せず、好きなことを追求しつつも、モノづくりの魔力と(現在にも通じる)当時の社会批判を描こうとしたことにクリエイターの矜持を感じる。実際、宮崎は憲法改悪の動きに反対している。なお、映画では、タバコの煙を含む空気の動き、関東大震災での地面の揺れなどの表現が興味深い。また名古屋が登場し、昔の街並みが描かれている。

2013/07/30(火)(五十嵐太郎)

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