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国際シンポジウム「現代ケンチクの日本」/オープニングシンポジウム「『カタストロフ』という機会─The Opportunity of Catastrophe─」

2013年09月15日号

会期:2013/08/11

愛知芸術文化センター 12階アートスペースA[愛知県]

11日は二連続で国際シンポジウムが行なわれた。「現代ケンチクの日本」はモデレータの渡辺真理さんが、「ARCHITECTURE」の訳語としての「建築」ではなく、いまは世界に発信していく日本独自の「ケンチク」が生まれているのではないかという興味深い仮説を提示したが、時間が足りず、あまりこの議論を展開できなかったのは残念だった。もっとも、アメリカ、ヨーロッパ、アジアから見る日本建築の状況を知ることはできた。
続いて、同じ会場では、ミハイル・カリキスのボイス・パフォーマンスを挟んで、あいちトリエンナーレのテーマに絡めた「カタストロフという機会」のシンポジウムが開催された。筆者はカタログに寄稿する内容を軸に、今回のコンセプトについて語る。連続的に数字を次々に見せる、ジャーによる詩のようなプレゼンテーションはカッコいい。またシンポジウムのプレゼンテーションを通じて、宮本佳明さんの今回の福島第一さかえ原発と、阪神大震災後のゼンカイハウスの共通点に気づいたのも収穫だった。後者は壊れた木造に鉄骨のフレームを挿入、前者も愛知芸術文化センターに原発を転送している。つまり、いずれも異なる建築形式を重ね合わせている。

2013/08/11(日)(五十嵐太郎)

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