大野麥風 展「大日本魚類画集」と博物画にみる魚たち:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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大野麥風 展「大日本魚類画集」と博物画にみる魚たち

2013年10月15日号

会期:2013/07/27~2013/09/23

東京ステーションギャラリー[東京都]

大野麥風ってぜんぜん知らなかったけど、『大日本魚類画集』をはじめとする博物画を手がけた日本画家だと聞いて見に行く。麥風は初め油絵を学び、途中で日本画に転じたというが、この経歴は博物画に向いていたかもしれない。なぜなら博物画は西洋流の緻密な観察力と写実性に加え、日本画的なパターン化した線描が必要だからだ。彼が原画を描いた『大日本魚類画集』を見ると、主役の魚だけでなく岩や水草まで描き込んであるが、その描写はまさに日本画的に様式化されている。ただしよく観察してはいるものの、たとえば魚の胸ビレの付け根に注目すると、解剖学的にありえない付き方をしているものもあって、やっぱり日本画だなあと思う。ちなみにこの画集、戦前から戦中にかけて毎月1点ずつ計72点を刊行したが、500部限定の会員制による会費で賄われたという。版画ではしばしばこうした販売方式をとるが、現代美術にも応用できないものか。ともあれ、同展には麥風だけでなく、江戸時代の本草画から平成の杉浦千里による甲殻類のイラストまで集められ、満足のゆく展観になっていた。

2013/09/19(木)(村田真)

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