六本木クロッシング2013[アウト・オブ・ダウト]展:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
次回9月3日更新予定

artscapeレビュー

六本木クロッシング2013[アウト・オブ・ダウト]展

2013年10月15日号

会期:2013/09/21~2013/01/13

森美術館[東京都]

出品作家は30代前後の若手を軸に、中村宏(81歳)、赤瀬川原平(76歳)、中平卓馬(75歳)、菅木志雄(69歳)ら70代前後の長老組がちらほら混じる奇妙な人選。中堅と呼べるのは柳幸典ただひとり。いいかえれば、70-90年代に登場し、いまもっとも脂ののっているアーティストたちがごっそり抜け落ちているということだ。なんでこんな奇妙な人選になったのか、というより、この奇妙な人選こそ今回の「クロッシング」の狙いなのかもしれないと思えてきた。たとえば、最初のほうに絵に描いたような社会批判を木版に彫る風間サチコが出品しているが、その隣に60-70年代の赤瀬川原平の風刺画を並べ、明らかに対比させている。昔こんなことやってた先輩がいるんだよと。そう考えると、ルーマニアに行って社会主義者を胴上げしたり、日本共産党にマルクスの肖像を掲げるよう頼みに行く丹羽良徳のパフォーマンスも、かつてだれかが似たことをやってたような気がしてくる。今回は出てないが「半刈りにしてハンガリーに行く」などはこれに近い。モニターとプロジェクターの映像を巧みに組み合わせた泉太郎も、他人の個展をプロデュースして自分の作品にしてしまう奥村雄樹も、今回のなかではもっとも優れた部類に入ると思うが、どこか既視感がぬぐえないのも事実。それは仕方がないことで、これだけ表現メディアが拡散してしまうと、逆にやることが似通って見えてしまうからだ。むしろ絵画なら絵画という形式にこだわったほうが多様性が担保できるような気がする。今回もっとも印象深かったのは中村宏と千葉正也で、どちらも絵画だったのは偶然ではないだろう。まあ未知の若手がことごとく期待はずれだったというのも大きいが。

2013/09/20(金)(村田真)

artscapeレビュー /relation/e_00022911.json l 10092588

2013年10月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ