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五十嵐研ゼミ旅行1 札幌市内の建築めぐり

2013年10月15日号

[北海道]

今年は日本建築学会大会の開催に合わせ、東北大の五十嵐研ゼミ旅行は北海道だった。札幌駅に集合し、初日は小ぶりでかわいらしいレーモンドの《札幌聖ミカエル教会》(1960)と原広司による巨大な《札幌ドーム》(2001)を見学した。後者はサッカーと野球を両方開催するという日本的な文脈が生みだした複合ビルディングタイプである。ゆえに、変形するトランスフォーマー型の建築だった。京都駅や大阪の梅田スカイビルに通じる未来的なデザインが彩りを添える。ちなみに、屋内は市民のランニングコースにも使われているという。
夕方は街の中心に戻り、坂倉準三の《札幌パークホテル(旧・ホテル三愛)》(1964)へ。いま見ると、ポツ窓的な手法の先駆けのようにも見えるデザインが施されているのだが、名古屋にも同事務所のそうした物件がある。久しぶりに訪れたナイジェル・コーツの《ノアの方舟》(1988)は、店が変わっても建物名称は同じままだった。それだけこのデザインがインパクをもっているからだろう。高松伸の小さいながらも目立つ《FIVE FOX 札幌タトゥー》(1989)も残っていた(ただし、現在は光っていない)。

写真:上から《札幌聖ミカエル教会》《札幌ドーム》《札幌パークホテル(旧・ホテル三愛)》《ノアの方舟》

2013/09/02(月)(五十嵐太郎)

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