artscapeレビュー

マイケル・パリー『モリス商会──装飾における革命』

2013年11月01日号

発行日:2013年7月30日
発行所:東京美術
価格:2,000円(税別)
サイズ:232x226x14、64頁

美しい本である。著者は、現在モリス商会のブランドを継承している、英国のサンダーソン社の社長。本書は、モリス商会の設立150周年を記念して出版されたもので、ウィリアム・モリスとアーツ・アンド・クラフツ運動の遺産、そして同商会がもたらした壁紙・ファブリックの魅力を余すことなく伝えている。サンダーソン社が保有する貴重なモリス商会のコレクションは、同社のデザイナーたちのインスピレーションになってきたという。インテリア・デザインに興味がある人にとっては、サンダーソン社が現代に甦らせたアーカイヴ・コレクションを撮影した、室内セットのコーディネートに触発されるだろう。また、19世紀のデザインを学ぶ人にとっては、同時代の史実に関する記述は言うまでもなく、モリス商会の行く末に興味を引かれるだろう。本書では、1940年まで存続したモリス商会とその製品が、21世紀に形を変えどのように生まれ変わり、現在に至るのかについても知ることができる。[竹内有子]

2013/10/19(土)(SYNK)

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