artscapeレビュー

大島成己 新作展 緑の触覚─haptic green

2013年12月01日号

会期:2013/11/02~2013/11/30

ギャラリーノマル[大阪府]

《haptic green》は、大島が2年前から取り組んでいる写真作品のシリーズで、非日常的な視覚体験をテーマにしている。森の風景を端から順に撮影し、数百枚の写真を合成したものだ。前回の個展では、焦点をひとつのレイヤーに集中させることで、特異な視覚体験を誘発させた。そして今回の新作は、画面内に幾つもの焦点を点在させたものだ。観客は、ありきたりな森の写真を前にして、眼と脳の反応が異なることに戸惑うだろう。そして作品を見続けるうち、自分が未知の視覚体験に誘われた事実に気付かされるのだ。本作にはもうひとつ興味深い特性がある。片目で見ると画面が3Dになるのだ。何とも不思議な作品である。

2013/11/07(木)(小吹隆文)

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