artscapeレビュー

Li-Ren Chang(張立人)展「古典小電影」

2014年01月15日号

会期:2013/12/16~2013/12/27

YOD Gallery[大阪府]

台湾の映像作家が日本初個展を開催。出品作品《古典小電影》シリーズは、名作絵画やポスターの女性たちが服を脱いで裸になるもので、名称は台湾の戒厳令時代に上映されていたポルノ映画に由来する。作品の真意は、戒厳令時代に人民と政府が口裏を合わせたかのように規範的な日常を送り、社会の矛盾に目をつむっていたことへの言及であり、少女が服を脱ぐ過程で作品と観客の内面に発生する矛盾を明らかにすることだ。有名な絵画の主人公たちが表情を変えずに服を脱いでいくことには驚かされたが、欲情するほどのエロさではない。むしろ、不自然な動作とシチュエーションが醸し出す滑稽さこそが、このシリーズのキモではないかと感じた。

2013/12/16(月)(小吹隆文)

2014年01月15日号の
artscapeレビュー