2017年10月15日号
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artscapeレビュー

山田はるか個展「私はあなたに命をあずけた」

2014年01月15日号

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会期:2013/12/06~2013/12/10

素人の乱12号店「ナオナカムラ」[東京都]

セクシュアリティーやジェンダーをテーマとするアーティスト、山田はるかの個展。4人のメンバーを自ら演じ分けたヴイジュアル系バンド「華妖.viju」のミュージックビデオ《愛の水中花》および《人形の家》のほか、岡崎京子のマンガ「ヘルタースケルター」を引用した《helter-skelter》、さまざまな女性が理想の男性像になりきる写真シリーズ《男想》など、これまでの作品を網羅的に展示した。
山田の真骨頂は、作品はもちろん空間の細部まで徹底的につくり込む精度にある。「華妖.viju」のミュージックビデオは音楽や映像の質が非常に高いばかりか、会場には数々の関連グッズも併せて販売されていた。暗い空間にミラーボールが回転するなかで映像を視聴していると、まるで「華妖.viju」のオフィシャルショップを訪れたかのように錯覚するほどだ。一切の妥協を許さず、完膚無きまで仕上げる気骨が清々しい。
異装によるセルフポートレイトという点では、森村泰昌はもちろん、澤田知子や浅田政志など類例は多い。けれども山田が秀逸なのは、それを大衆文化と動画によって見事に表現したからだ。《愛の水中花》と《人形の家》を見ると、山田がそれぞれのキャラクターや内面を的確に演じ分けていることがよくわかる。
なかでも《男想》は、一般女性を被写体にしながら彼女たちの妄想を写真と文章によって視覚化した、他に類例を見ない傑作である。社会的に抑圧されがちなさまざまな欲望が肯定的に引き出されているばかりか、アーティスト個人の内面や欲望というより、一般女性のそれらを探究している点で、考現学的な要素も含まれているところが素晴らしい。
大衆文化や動画、そして考現学。山田がこれらを手がかりにしてセクシュアリティーやジェンダーを探求しているのは、これらの今日的な問題がそうした水平軸に顕現していることを見抜いているからではないか。

2013/12/09(月)(福住廉)

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