artscapeレビュー

エルジェ美術館

2014年01月15日号

[ベルギー]

パリからベルギーへ日帰りを行なう。2009年にオープンした『タンタンの冒険』を描いた漫画家のエルジェ美術館を訪れる。4つのユニークなヴォリュームをブリッジで渡りながら、展示を鑑賞する空間だった。クリスチャン・ド・ポルザンパルクの設計だが、ルーヴル・ランスを見た直後だと、彫刻的な形態の組み合わせを競ったポストモダン的な時代の懐かしさを感じる。1929年にスタートした『タンタンの冒険』の展示をいまの視点から鑑賞すると、世界各地を旅していることから、アジアを含む非西洋圏に対するイメージなどがうかがえて興味深い。バンドデシネの分野において緻密な建築描写で知られるスクイテンを輩出した国、ベルギーはブリッセルに漫画博物館や漫画を描いたまちなか壁画プロジェクトもあって、漫画の紹介に力を入れている。

2013/12/28(土)(五十嵐太郎)

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