artscapeレビュー

新野洋 展「幻想採集室」

2014年03月01日号

会期:2014/02/18~2014/03/08

YOD Gallery[大阪府]

野山の花や実などを採集・観察し、それらを型取りして樹脂成型したパーツを組み合わせて、架空の昆虫オブジェを制作する新野洋。本展の新作はどれも球形で、作風を一新したと思われた。しかし、ディテールをよく見ると、それらは6本足の昆虫の集合体であり、作品の本質は変わらないことがわかる。このような作品が生まれたのは、彼が以前住んでいた住宅地から、京都と奈良の県境に位置する山村へと移住したことが大きく影響している。より濃密な自然に囲まれた地域に住むことで、相互関連的な自然界の姿を反映した造形が出現したのだ。新たな制作環境を得た新野が、今後どのように作品を発展させるのか楽しみだ。

2014/02/18(火)(小吹隆文)

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