artscapeレビュー

プレビュー:神村恵『腹悶(ふくもん:Gut Pathos)』

2014年04月01日号

会期:2014/04/03~2014/04/08

STスポット[神奈川県]

3月は力強い新作公演を立て続けに見たし、宮城県名取市での砂連尾理の活動も取材できて、ダンスの可能性や将来的になすべきことなど、諸々考えることが多かった。それと珍しいキノコ舞踊団のフライヤーに「コンテンポラリーダンス卒業宣言!!」と謳われていたのも、今月の出来事だ。「私たち、コンテンポラリーダンスを卒業します! ただ普通にダンスをやりたいだけなんです! だって私たちにとってダンスは日常なんですもの!!」とのこと。彼女たちが以前から「コンテンポラリー・ダンス」というカテゴリーの束縛から解放されたい気持ちを強く持っていたということなのだろう、でも、いまやこの言葉を見かけることはほとんどない。要は、すべてが「ダンス」になったのだ。「コンテンポラリー・ダンス」という枠は足枷にも上げ底にもなっていたろうが、今後は個々の作家が「ダンス」をどう捉えるか、捉えた価値をどう発信していくのかが、よりダイレクトにシビアに問われていくのだろう。今月は早々に神村恵の新作ダンス公演『腹悶(Gut Pathos)』がある。最近は、ブレイン・ストライキなどダンス公演以外の広くダンスや社会を問う姿勢を示している神村だけれど、とくに高嶋晋一との協力関係で進められる制作活動のなかには、緊張感のある共同作業の様子が垣間見え、ダンスへ向けたアプローチに新しい展開が示されている。

神村恵カンパニー「腹悶(Fukumon)」PV

2014/03/30(日)(木村覚)

2014年04月01日号の
artscapeレビュー