artscapeレビュー

ex.resist vol.2

2014年04月15日号

会期:2014/03/14~2014/03/23

Galaxy-銀河系[東京都]

resist写真塾は吉永マサユキを塾長に2006年にスタートした。毎回、特別講師の森山大道をはじめとするゲスト講師を迎え、定員20名で作品講評と写真集制作を中心とした授業を行なっている。本展はその修了生によるグループ展で、大谷次郎、奥田敦史、川本健司、竹内弘真、谷本恵、星玄人の6人が参加した。
「時流に乗らず、短期的な結果を追い求めず、技巧手法のごまかしもしない。周りに惑わされることなく、自分がこれと決めた対象に向き合い続ける」という塾の方針をストレートに受けとめた作品群は、気魄と意欲にあふれたものばかりだ。スナップ写真特有の直接的な身体性を、これほど生真面目に追い求めている集団はほかにないのではないだろうか。ただ、スタートから9年経って、8期にわたって修了生を出し続けてくると、そろそろその直球勝負の表現のあり方が、スタイルとして固定しかけているのではないかと思ってしまう。吉永マサユキや森山大道の手法を後追いし続けた結果、彼らの「縮小再生産」になりつつあるのではないかと懸念するのだ。
たとえば、出品者のひとりの星玄人は、東京・新宿のサードディストリクトギャラリーでも発表を重ねている写真家で、本点の出品作である「大阪西成」も、不穏な気配が全面に漂う力作だ。だが、その彼の写真が、ほかの写真家たちの作品と同化し、むしろパワーダウンしているように感じられた。もうそろそろ、resistという枠組そのものを、流動的に解体していく時期にきているのではないだろうか。

2014/03/15(土)(飯沢耕太郎)

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