artscapeレビュー

混流温泉文化祭

2014年04月15日号

会期:2014/03/08~2014/03/23

丸屋ビル、仲見世通り商店街、平和通り商店街[静岡県]

久しぶりに熱海を訪問した。近年は人が減っていると思いきや、日曜だからなのか、それとも若者が海外に行かなくなったからなのか、想像以上ににぎわっていた。熱海に移住した戸井田雄(せんだいデザインリーグ2006で、地面に穴を掘ったファイナリスト)が企画した混流温泉文化祭を開催しており、駅前の商店街からuwabamiの作品が各店舗のショーウィンドウに展開する。メイン会場は、銀座通りの丸屋ビルの1階と地下である。かつてパチンコ屋だった建物の内部で、勝正光の鉛筆画、近藤洋平による椅子のインスタレーション、眞島竜男による温泉での着替え映像作品、田原唯之の交換する水のインスピレーション、木村恒介の横縞になった風景写真、机の傷に蓄光性の塗料をすり込んだ戸井田の作品が楽しめる。このイベントは、岩室温泉のある新潟からのサポートで実現できたらしい。銀座通り周辺の街歩きを行なう。震災と津波、そして大火のために戦前の建物はなくなり、20世紀後半のものだが、昭和の時層を感じる味のある建物が多く、なかなか面白い。その後、アートと街づくりをめぐって、藤浩志とトークを行なう。あいちトリエンナーレとかぶり、彼がディレクションした十和田奥入瀬芸術祭に行けなかったのが惜しまれる。

写真:近藤洋平による椅子のインスタレーション

2014/03/16(日)(五十嵐太郎)

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