artscapeレビュー

五十嵐太郎×東浩紀、藤村龍至(司会)「アートから建築へ、そしてツーリズムへ──『揺れる大地』と『ゾーン』への旅」

2014年04月15日号

ゲンロンカフェ[東京都]

ゲンロンカフェにて、五十嵐×東浩紀×藤村龍至のトークを行なう。前半はあいちトリエンナーレ、途中から福島第一原発観光地化計画のデザインをめぐって、藤村さんの立ち位置の討議となった。藤村は丹下健三スキームを踏まえながら、明快な形のシンボリズムは継がず、東工大的な複雑かつ多層構造のなかにシンボリズムを組み込むと言う。会の終了後、シンボリズムつながりで、南相馬に存在した原町の無線塔に触れて、大いに盛り上がる。筆者も初めて知ったのは2011年の6月頃、五十嵐研のゼミで修士設計のネタにしようとした原町出身の学生を通じてだった。初見では、本当に建てられたとは信じ難い構造物のプロポーションとまちの風景である。藤井光の映画『ASAHIZA』でも記録映像を使い、一瞬登場するのだが、この塔は、五十嵐研による南相馬の仮設住宅地の塔と壁画のある集会所のプロジェクトにも影響を少し与えた。地元でも、無線塔の解体後、まちのシンボルを失ったことを悔やみ、同時期につくられた映画館、朝日座の保存と活動維持に動いたという。

2014/03/21(金)(五十嵐太郎)

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