artscapeレビュー

CIM[CITY IN MEMORY -記憶の街-]「記憶の倉庫」

2014年04月15日号

会期:2014/03/01~2014/03/23(木~のみ)

堀川団地[京都府]

京都市にある築60年以上の「堀川団地」はかつて多くの人達の憧れだったという集合住宅。現在も住人がいるのだが、今回12名のアーティストが空き室を舞台にこの場所の「記憶」を見つめるという“体験の場”をつくりあげた。公開されたのは実際にこの団地の住人によって使われていたり、保管されていた衣類、多くの生活道具などがインスタレーションされた住居空間。私が想像していたよりも狭く、風呂もなかったのが意外だったのだが、この設えはかつての住人の暮らしや外の景色、その移り変わりに思いを巡らせた。昔この団地で暮らしていた人が訪ねてきて、集合ポストのひとつに現在もその名前が残っているのを見つけたというエピソードを聞いたことも感慨深く、部屋に染み込んだ生活の匂いがいっそう想像をかき立てた。老朽化で、現在再生計画が議論されている最中だという団地。その今後にも注目したい。


展示風景

2014/03/23(日)(酒井千穂)

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