artscapeレビュー

親子で楽しむアートの世界──遠まわりの旅

2014年04月15日号

会期:2014/02/15~2014/03/30

名古屋市美術館[愛知県]

D.D.(今村哲+染谷亜里可)の迷路(的巨大な体験型作品)を初体験。これは楽しい。テーマに関して「生と死に向き合う」「光と闇、脱出そしてつながる」「鏡の世界」「世界を眺め、存在することについて考える」といった、それぞれのセクションの切り口が押し付けがましくなく、すっと頭に入ってくる。迷路の最初、子どもが行き交う狭い通路を入ると、実家の居間のテーブルの上といった感じの距離感でフリーダ・カーロ《オブジェによる自画像》が登場するイントロ(と勝手に解釈)も良かったし、途中の坂本夏子《Painters》も楽しめた。終盤、河口龍夫の《DARK BOX》やシケイロスの英雄像《クァウテモックの肖像》がとてつもなくドラマチックに映ったのも印象的。迷路のアトラクション的要素がそれだけに終わらず、展覧会としてしっかりと結実していたように思う。

2014/03/21(土)(松永大地)

artscapeレビュー /relation/e_00024906.json l 10098378

2014年04月15日号の
artscapeレビュー