都築響一「独居老人スタイル」展(前期):artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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都築響一「独居老人スタイル」展(前期)

2014年05月15日号

会期:2014/04/05~2014/04/29

ナディッフアパート[東京都]

過激な暴走老人、と本人たちは思ってないはずで、ただ社会の規範から多少はみ出してしまう一人暮らしの独居老人を取材した都築響一の快著『独居老人スタイル』。そこに登場するアーティスト(と呼んでいいのか)たちのポップでキッチュな「作品」を2回に分けて紹介している。前期は、閉館して半世紀にもなる本宮映画劇場を守り続けてきた田村修司をはじめ、早稲田松竹映画劇場お掃除担当の荻野ユキ子、画家の美濃瓢吾、日曜画家の川上四郎の4人。このうち美濃は唯一プロといえるが、あとの3人は怖いもの知らずのシロート。ピンク映画をはじめとするB級映画のポスターで壁を埋め尽くした田村も、ヘタな絵だけでなく妙に生々しい女性ヌード写真を出してる川上も滋味深いが、もっとも戦慄的なのが荻野ユキ子。彼女はスーパーで売ってる食品トレイをベースに、プラスチックの笹や人形などの廃品を組み合わせ、箱庭のように仕立てたオブジェを映画館に設置してきた。そのチープでゴージャスな小宇宙を数十個テーブルにびっしりと並べている。いったいなんのために? だれのために? などと考えてはいけない。ただ創作衝動にかられてつくり続けてきた、というのが真実だろう。このたくましい創造力! その創造力が社会に与える破壊力!

2014/04/22(火)(村田真)

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