2018年06月15日号
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artscapeレビュー

内藤礼/畠山直哉「タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)」

2014年05月15日号

会期:2014/04/04~2014/05/31

GALLERY KOYANAGI[東京都]

内藤礼が2013年に広島県立美術館で展示した「タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)」は、彼女が初めて「原爆」というテーマに取り組んだ作品である。その展示の様子を畠山直哉が撮影した。アーティスト同士の、心そそられるコラボレーションと言える。
内藤の作品は、弧を描いて吊り下げられた灯りの下にひっそりと置かれていた。広島平和記念資料館が所蔵する17個の「被爆したガラス瓶」の横に、17人の「ひと」がたたずむ。原爆の熱で溶解したガラス瓶も、木を人形のようにカービングしてアクリル絵の具で彩色した「ひと」の姿もとても小さい。その祈りを込めて丁寧につくり込んだ小さな造形が、いかにも内藤の作品らしく、愛らしいけれども、ぴんと張りつめた佇まいだ。ほかに透明なガラス容器に、生命力を暗示するかのような黄色い花を挿したオブジェも並べてあった。
畠山の撮影の仕方も、内藤の作品の繊細さに合わせるように、ごく控えめなものだ。全体の姿を捉えた写真のほかに、1点、あるいは2点のオブジェをクローズアップで撮影したカットがあるのだが、観客との無言の対話を引き出すようなアングルが注意深く選ばれている。ガラス瓶の鉱物的な質感を、どちらかと言えば有機的な柔らかい感触に置き換えているのがとても効果的だと思う。確か以前にも何度か、内藤のインスタレーションを畠山が撮影することがあったと記憶しているのだが、ぜひそれらをまとめた「写真集」も見てみたい。

2014/04/09(水)(飯沢耕太郎)

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