artscapeレビュー

集治千晶 展

2014年06月01日号

会期:2014/05/06~2014/05/11

ギャラリーヒルゲート[京都府]

落書きのような線描と鮮やかな色面のコントラストからなる、遊戯的・祝祭的作風の銅版画で知られる集治千晶。画廊の2フロアを使用した本展では、1階が新作、2階が旧作という小回顧展的な構成がとられた。注目すべきは新作の《人形遊び》シリーズで、カラフルな色合いこそいままでと同様だが、少女人形の毛髪、衣服、アクセサリーを再構成して装飾性を前面に押し出した作風に変化している。本人に聞いたところ、自身に内在する女性性を作品化するか否かで葛藤があり、2007年から13年にかけて版画制作を控えめにしていたとのこと。結局彼女は、自身の内なる声に正直に振る舞い、《人形遊び》シリーズとして結実した。その意味で本展は、集治の新章を飾る極めて重要な機会であった。

2014/05/06(火)(小吹隆文)

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