artscapeレビュー

フォトフォビア アピチャッポン・ウィーラセタクン個展

2014年07月01日号

会期:2014/06/14~2014/07/27

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]

タイを拠点に活動する美術家で映画監督のアピチャッポン・ウィーラセタクン。彼の、映像、写真、絵画など約40点が展示された。主たる出品作品は映像で、日記的な小品から上映時間約20分の大作まで、さまざまな作品が見られる。多くの作品に共通するのは、彼が住むタイ東北部の風土、習俗、伝承をベースにしていることと、論理的なストーリー展開を半ば意図的に無視していること、現実の社会問題を想起させるイメージも挟み込まれるが、決してジャーナリスティックではないこと、などである。つまり、現実と夢の境界を写し出したかのような映像世界であり、その流れに身を浸すような鑑賞態度が求められるということだ。筆者のお気に入りは《ASHES.》という上映時間約21分の長尺作品。作品を見るうちに一種の喪失感に包まれ、深い感慨を覚えた。

2014/06/17(火)(小吹隆文)

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