artscapeレビュー

トーキョー・ストーリー2014

2014年08月15日号

会期:2014/06/14~2014/07/21

トーキョーワンダーサイト本郷[東京都]

世界各地に滞在・制作した成果を、本郷と渋谷の2カ所で発表している。まず7組が出品している本郷から。台湾に行った友政麻理子は、向こうの食事文化や父娘関係をリサーチし、文化の違いをクローズアップ。マドリッドに滞在した中島佑太は、安倍首相の「ディス・シチュエーション・イズ・アンダーコントロール」というウソに触発されて、子どもたちとノボリをつくるワーショップ「うそをつく」を開催。また韓国に行った二藤建人は、雑巾でつくったスーツを着て街をきれいにした(自分は汚くなった)。これらは作品づくりよりコミュニケーションそのものを目的としたアートといえる。同じく二藤は山に登り、山頂に埋まって片手だけ出し、巨大な鋳型を採取。オル太はベルリンから始まり、アウシュビッツ、チェルノブイリなど近代化の過程で歪みが暴発した場所を選んで訪れ、インスタレーションにした。これらはその場所に行ってみなければ始まらない(でも行っただけでは始まらない)アートといえる。それにしてもホイホイ行けるようになったんだなあ。

2014/07/05(土)(村田真)

artscapeレビュー /relation/e_00026633.json l 10101581

2014年08月15日号の
artscapeレビュー