artscapeレビュー

MuDA × Humanelectro「SPIRAL」

2014年08月15日号

会期:2014/07/19~2014/07/20

山本能楽堂[大阪府]

2010年の結成以来、「生命、身体、負荷、儀式、宇宙」をテーマに、多様なメディアを駆使したパフォーマンス活動を行なっている MuDA (http://muda-japan.com)と、ベルリン在住のヒューマンビートボクサーでエレクトロニックミュージシャンの「Humanelectro = Ryo Fujimoto」によるコラボレーション公演が大阪の山本能楽堂で開催された。国の重要有形文化財である能楽堂を舞台とした今回は、来年以降に予定されているヨーロッパやアジア各地でのMuDAの世界ツアー・プロジェクトの初回公演でもあり、それだけにMuDAのパフォーマンスという求心力に改めて注目したいところであった。ダンサーたちが激しくぶつかり合いながら揃って跳んだり倒れたり、動作を反復するその独特のパフォーマンスに音響、照明のエフェクト、そしてHumanelectro = Ryo Fujimotoのビートボックスのリズムがときにドラマチックに重なる舞台。これまで私が見た中でも演出にダイナミズムを感じる見応えのあるステージだった。かたや、ダンサーたちの動きが、やや窮屈で固い印象だったのが気になる。能舞台でのパフォーマンスとは斬新だったが、そのマッチングの魅力はもうひとつ発揮されていない感じがしたのが惜しい。公演を見るごとに、ダンサーたちの動き、パフォーマンスは全体に旋律的な美しさの厚みが増していると感じる。のびのびとそれを発揮できる舞台にまた期待している。




写真:辻村耕司

2014/07/19(土)(酒井千穂)

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