2018年10月15日号
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artscapeレビュー

河合晋平博物館 ヴォルガノーチル展

2014年10月15日号

会期:2014/09/17~2014/09/30

高島屋大阪店ギャラリーNEXT[大阪府]

ロールパン、スプーン、ビニール製のチューブ、電球など、身の回りのものを素材に用い、”芸術環境に生息し進化する生命体に見立てた「存在物」という作品を発表し続けている河合晋平。今回新たな「生命体」として、廃棄ビデオテープのロールを用いた「存在物」《ヴォルガノーチル》が大阪の百貨店内のギャラリーで発表された。今展は関西テレビと障碍者支援施設「みずのき」による「廃棄テープリサイクル&アートリユースプロジェクト」という企画の展覧会で、作品の素材となったビデオテープは、同テレビ局がかつて放送映像の保存に使っていた廃品であった。アンモナイトやオウムガイなどの化石を思わせる《ヴォルガノーチル》267点が整然と壁面に並列した空間は、タッチライトで作品各々が光るのも奇麗で、おしゃれなショールームさながらの統一感がある。それだけに遠目にはどれも同じように見えるのだが、近づいてみるとそれぞれのロールの襞や着彩の様子は微妙に異なるのが分かる。標本や図鑑を眺めるようで見れば見るほど各々を見比べるのが面白くなる作品だった。数の多さもさることながら、一点一点、細部の表現に徹底的にこだわる河合の制作。毎回、感心というよりもあきれるほどだが、その職人的な制作への姿勢もかっこいい。次にどんな「存在物」が誕生するのかまた楽しみだ。


展示風景

2014/09/17(水)(酒井千穂)

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