アアルト 《自邸》と《スタジオ》:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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アアルト 《自邸》と《スタジオ》

2014年10月15日号

[フィンランド、ヘルシンキ]

ヘルシンキへ。アルヴァ・アアルトの《自邸》(1936)と《スタジオ》(1955)を見学するため、郊外の住宅地に出かける。すぐ近くにあまり知られていないアアルトやサーリネンによる集合住宅もあるのだが、これら以外でも、普通にまわりの家のデザインのレベルが高い。コモで、テラーニの集合住宅を見たときも同じことを感じたが、本の情報だけではわからないことだ。アアルトの《スタジオ》は、住宅地の外部に対しては閉じつつ、曲線を含む変形L字プランで、斜面を利用しながら、中庭に小さなアンフィシアターを抱え込む。食堂、仕事場、打ち合せ室など、それぞれに異なる性格の空間が、絶妙なスケール感で展開し、図面では想像できない場を生みだす。確かに、天才である。一方、アアルトの《自邸》は、当初事務所に使われた時期もあったが、スタジオが施主に見せるためのハレの演出をもつのに対し、基本的には親密な空間だ。一階はカーテンなどで間仕切り、ゆるやかに各部屋が連続し、二階は小さなリビングを個室群が囲む。《自邸》も《スタジオ》もガイドツアーのみ内部を見学できるのだが、来場者は日本人と韓国人が多く、アジアにおけるアアルト人気がうかがえる。


左:アルヴァ・アアルト《アトリエ》
右:アルヴァ・アアルト《自邸》

2014/09/20(土)(五十嵐太郎)

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