2024年03月01日号
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artscapeレビュー

被災地めぐり

2014年10月15日号

会期:2014/09/28

[宮城県]

久しぶりに仙台を起点に、雄勝、女川、石巻エリアをまわる。雄勝の中心部は被災建物を除去したため、街の痕跡が完全に消えていた。一方、ゆっくりと各浜の復興が動く。以前の津波災害後につくられた復興住宅も、とり壊されるらしいのだが、これは歴史の証言者として残していいのではかと思う。


左:雄勝の復興住宅
右:雄勝風景

女川では、女川サプリメントの建物がすでに解体され、江島共済会館も壊される見込みである。結局、震災遺構としては交番だけが残る予定だ。震災20日後にここに訪れたときは、横倒しになった江島共済会館を探すのに、30分以上かかるほど、街が破壊され尽くされており、カオスの状態だった。しかし、今やこれくらいしか破壊の記憶を伝える目立つものが残っていないのは皮肉である。女川のかさ上げは相当な高さだった。一方、ここは海沿いに新しい水産関係の施設がどんどん作られ、運動公園にも復興住宅群が完成していた。また坂茂の設計による新しい駅舎もだいぶできており、他の被災地に比べてスピードが早い。そして石巻では、被災した自由の女神や木造教会(移築予定)がなくなっていた。


女川 江島共済会館

記事左上:坂茂設計の女川駅駅舎模型

2014/09/28(日)(五十嵐太郎)

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