artscapeレビュー

金氏徹平「四角い液体、メタリックなメモリー」

2014年11月15日号

会期:2014/10/04~2014/11/03

京都芸術センター[京都府]

アクリル板や木材などの支持体へのペインティングやプリントが書き割りのように立てられている。これは過去にも彼の作品で見たことのある、迷いのない線で描かれた模様のようにも見えるもの(ステートメントにある「琳派」というキーワードも読み解く鍵と感じたが)で、そこにある物体が作品本体であり、鑑賞対象になるのだが、その作品と作品のある空間は、どこか余白だらけで、そこらじゅうから吹き込むすきま風のようなものをびゅんびゅんと感じるものだった。それは、近年、金氏が舞台美術を手がけていることに納得がいくような、入り込む余地がいっぱいあるという感覚に近い。会場では音楽ライブなども行なわれたようで、写真撮影も自由というのも、そういった意図のひとつだろうか。ギャラリー内で、手持ち無沙汰になるという不思議な感覚があった。作品自体のトーメイ度は極めて高い。

2014/10/04(土)(松永大地)

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