artscapeレビュー

光の都市|光州

2014年12月15日号

会期:2014/11/16~2014/12/04

BankARTスタジオNYK[神奈川県]

今年、東アジア文化都市に横浜、泉州(中国)とともに選ばれた韓国・光州の市立美術館が主催する展覧会。同館学芸員のビョン・ギリョン氏によれば、光州市はビエンナーレに代表されるように、文化が都市を再生させ、市民生活を豊かにできるという信念を持ってる街だという。日本に本気でこんな信念を持ってる自治体があるだろうか。たとえあっても首長が変われば続かないし。出品は5人でいずれもレベルが高いが、とりわけ目を引いたのは李二南の映像インスタレーション。フェルメールの《牛乳を注ぐ女性》の牛乳の白い筋が下に置いたモニターに続いていたり、画面に映る《モナ・リザ》が小さな戦闘機に爆撃されて次第に花に変わっていったり、日本好きだったゴッホの自画像が広重の《東海道五十三次》のなかをさまよったり。だれもが知ってる名画を用いて美術史の森に分け入っている。アイディアは珍しいものではないけれど、技術的にもよくできた作品だ。

2014/11/17(月)(村田真)

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