artscapeレビュー

日清・日露戦争とメディア

2014年12月15日号

会期:2014/10/04~2014/11/24

川崎市市民ミュージアム[神奈川県]

そうか、今年は第1次大戦開始から100年目だけど、日清戦争120年、日露戦争110年でもあった。そして来年は第2次大戦が終わって70年。昔は戦争ばかりやってたんだなあ。そんな100年以上も前のふたつの戦争を伝えた複製メディアを紹介するもの。日清戦争のころは戦争錦絵が盛んに描かれたが、木版画なんで平坦、奥行きや立体感に欠けリアリティに乏しい。まだ江戸時代の浮世絵の面影を残してる。それに対して約10年後の日露戦争では石版画が主流となり、陰影の微妙なニュアンスが加わってリアリティが増していく。もちろん写真はすでに普及していたので、どちらの戦争でも記録として活用されていたが。それにしても、カラー写真や映画、大量印刷などさらにマスメディアが発達した第2次大戦においてなぜ、オールドな油絵や日本画による戦争画が組織的に描かれることになったのか、不思議といえば不思議。

2014/11/20(木)(村田真)

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