artscapeレビュー

山部泰司展─溢れる風景画2014─

2015年01月15日号

会期:2014/12/16~2014/12/28

LADS GALLERY[大阪府]

会場の入り口正面にどんと展示された200号の大作の迫力が印象的だった山部泰司展。森のなかを流れる川や滝。水の流れる風景が褐色を帯びた赤で描かれた絵画が多数展示されていた。一見均整と調和のとれた奥行きのある世界なのだが、よく見ると画面の遠近やモチーフのバランスに違和感を覚えて、こちらの感覚も少し混乱する。作品ごとにやたら画面の細部に目が引き寄せられるのもそのせいだろうか。画面にいくつもの時間と空間が入り混じり、じっと見ていると「見る」ということ自体を意識させられるから不思議。今展にはデルフトブルーのような青で描かれた作品シリーズも展示されていた。赤褐色の画面を眺め続けた目にそのブルーがなんとも心地よく映る。展示自体も魅力的だった。

2014/12/20(土)(酒井千穂)

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