artscapeレビュー

「Uneven Growth:Tactical Urbanisms for Expanding Megacities」展

2015年01月15日号

会期:2014/11/22~2015/05/10

MoMA(ニューヨーク近代美術館)[アメリカ合衆国ニューヨーク市]

MoMAの建築セクションでは「不揃いな成長:膨張するメガシティの戦略的アーバニズム」展と題し、ムンバイ、ラゴス、香港、NY、イスタンブールなどの6都市のリサーチ&データ展示。こうした切り口は、レム・コールハースが流行らせ、2014年のヴェネツィアビエンナーレでピークになった手法だが、見せ方が完全にスタイル化している。デザイン部門は、音や音楽関係をテーマにした展示で面白い。が、やはり一番の迫力は20世紀美術のコレクションを展示する常設のエリアだろう。卒計やイベントで学生を見ていると、普段美術館に行かないだけでなく、企画展しか重視しない雰囲気を感じるが、本当に強い美術館は、常設のすごいところだ。2年前に大がかりな日本現代美術の企画展を見たが、今日駆け足で見たところ、日本人で展示されていたのは、スピーカーとゲーム(インベーダーやパックマン)などのデザイン系くらいである。ただ、建築部門では、日本建築展を準備しているようだし、そもそも箱の増改築を谷口吉生が手がけている。MoMAの止めは、レストランのザ・モダンがいつも美味いこと。『地球の歩き方』などの旅行ガイドはショッピング、レストラン、ホテルの後にようやくミュージアムの頁が来るくらい、食の方が好きなんだから(建築の説明はテキトーだし)、せめて日本の美術館も、こういうお店が普通にあるとよい。

2014/12/31(水)(五十嵐太郎)

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