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富本憲吉 展 華麗なる色絵・金銀彩

2015年02月01日号

会期:2015/01/17~2015/03/15

奈良県立美術館[奈良県]

日本の近代陶芸を代表する巨匠・富本憲吉の回顧展。初期から晩年までの代表作はもちろんだが、富本と郷里(奈良県安堵町)とのかかわりを示す作品・資料や、富本が色絵技法を研究した九谷焼とのかかわりを示す古今の九谷焼作品が多数展示されており、とても興味深かった。会場にはこと細かに説明パネルが設けられており、わかりやすさを第一に考えた展示が行なわれた。陶芸通にはサービス過剰だったかもしれないが、初心者に優しいことは間違いない。個人的に最も印象的だったのは、展覧会末尾に並んでいた多数の無地の白磁作品。色絵・金銀彩を強調した本展にあって、富本自身が最後まで器のベースとなる本体部分を重視していた事実を示すものだった。

2015/01/16(金)(小吹隆文)

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